同じ動詞でも「自動詞」「他動詞」と複数の機能があるのがほとんど
下のページを見て、動詞”write”を調べてみてください。
このように
他動詞となっているところ
自動詞となっているところに大きく分かれています。
実はほとんどの動詞が自動詞としても他動詞としても使われるため、ある動詞は「自動詞の動詞だ!」と言って覚えて、その動詞が使われているから「これは第1文型だ」とはならないのです。
また第3文型(S+V+O)、第4文型(S+C+O+O)も同様に、この動詞だからと言って必ずしも第4文型だ、などとは言えないのです。
だからと言って、「これは第〇文型だ」と見分けられないわけではありません。
見分ける方法はそれぞれの文型にしっかりした特徴があるからです。
第1文型の特徴
S+Vで目的語を取らない、ということは説明しましたね。
第1文型の特徴はまさにそれです。
自動詞は自己完結するのです。
好き、愛する、知る、習う・・・これらの動詞だけで文章はできますか?
- 私は好きです。(誰が好きなの?)
- 私は愛しています。(誰を?)
- 私は知っています。(何を?)
- 私は習います。(だから、何を!?)
目的語という対象物がないので、これだけでは文章が成り立たないです。
もちろん、会話の中で、
「ねー、田中君好き?」の質問があれば
「うん。好き」とだけ答えても意味が通じます。
これは田中君という目的語がすでに会話に出てきているからであって、目的語がないわけではありません。
これが第1文型の動詞だと
- 私は走ります。
- 車は止まります。
- 私は寝ます。
- 鳥は飛びます。
と成り立つのです。
これはまず基本的なこととして頭に入れて、そのうえで下の例外的な場合を見ていきましょう。
日本語基準で考えるとうまくいかないことがある
日本語を基準に考えたとき、「私はグラウンドを走ります。」のように「グラウンドを」が日本語的には目的語になりますよね。
英語ではグラウンドは目的語ではなく、場所を表す副詞句として扱われます。
これはもう言語の違いとしか言いようがありません。
自動詞の働き(作用する相手がいない)を理解したうえで、下の3項目で自動詞として使われている(第1文型)かそうでないかが分かります。
1.目的語らしき名詞(名詞句、名詞節)が後ろに続かない
The pandemic hit when Japan’s economy was still suffering a tax increase on the consumers.
「そのパンデミックは日本経済がまだ消費税増税に難儀しているときに打撃した」
ちょっと文章が難しいので(あえて長く難しくしました)全てを理解しなくても大丈夫です。
こんな長い例文でも、「~をたたく」という動詞”hit”の目的語がないのが簡単にわかることを示したかったのです。
“hit”に続くのは”when”。when以下は「~のときに」の副詞節。目的語にはなりません。
The pandemic hit Japan’s economy hard when it was still suffering a tax increase on the consumers.
訳はほぼ同じになりますが、これだと、動詞hitのあとに名詞句”Japan’s economy”「日本経済」があるので、目的語がある第3文型だとわかります。
このように同じ動詞”hit”でも目的語を取る場合と取らない場合がありますので、どの動詞が使われているかで自動詞か他動詞か見分けるのはNGです。
あくまで文章の形を見て考えましょう。
2.動詞だけの命令形にしても文が成り立つかどうか
Please bring coffee.
コーヒーを持ってきて
これは他動詞”bring”が目的語”coffee”を取っています。
Please bring.
これは文章にはなりません。もし、英語を母国語にする人に言ったら、100%この返事が返ってきます。
“Bring what??”
「何を持ってくるの?」
自動詞は違います。
- “Run!”「走れ!」
- “Jump!”「ジャンプしろ!」
- “Sing!”「歌え!」
- “Stop!”「止まれ!」
このように、動詞一言の命令形が言えるような動詞は自動詞ということができます。
“Sing a song.”「歌を1曲歌って」
この場合は目的語”a song”を取っているので、このsingは他動詞、第3文型である、ということができます。
ただ、命令形でも2語以上続くことがありますよね。2語以上続いたら他動詞、なんてことはありません。
自動詞の場合で2語以上続く場合、それは副詞句になります。
副詞、あるいは副詞句をしっかり見分けられるようになれば自動詞か他動詞かは簡単にわかります。
副詞句を伴う命令形
Drive slowly.
ゆっくり、という副詞ですね。
Stop right there!
“right there”「その場所きっかりで」という副詞句ですね。
Sing loudly!
大声で、という副詞です。
Jump as high as you can!
出来るだけ高く飛べ!
副詞(句)の特徴を考えてみてください。
命令する動詞を詳しく言うために使うのが副詞(句)。
そして続くのが目的語ではなく副詞(句)なら自動詞。
自動詞なら第1文型ということになります。
第2文型の特徴
これはすでにしつこいくらい説明しましたので、ここでは省略します。
もう一度確認したい場合は下の記事を確認してください。
第3文型の特徴
第3文型は主語+他動詞+目的語です。
上の第1文型の特徴のところで目的語と副詞の見分け方を書いていますが、一応第3文型の時の命令形の例文をいくつか挙げて、第1文型との違いを覚えてください。
第3文型の命令形
“Excuse me.”
「ちょっとすみません」の意味で使われますが、他動詞”excuse”「~をゆるす」、目的語”me”で「私を許してね」というのが本来の意味です。
“Show me!”
「見せて!」
「わたしに」の目的語が入っています。もう皆さんお分かりかと思いますが、”me”は代名詞で副詞じゃないですよね。
“Beat me.”
「わたしをたたきなさい」
“Beats me.”
これは命令形ではなく、本来は”It”という主語が隠れて、”It beats me.”がもともとの形です。なので、3単現になっています。
何かを聞かれて答えがさっぱり。そんなとき「わかんない」「さあね」と返すときに使います。
これも目的語meを取る第3文型ですね。
要は必ず目的語がある、ということですね。
第4文型の特徴
第4文型の見分け方は、目的語を2つ取っているかどうか、そして2つ取れる動詞を覚えているかどうか、この2点が重要になります。
この記事に第4文型を取る動詞とその例が載っています。
第5文型の特徴
中学校で習う第5文型を取る動詞の数は非常に限られています。
使役動詞 have, make, let, get, leave, keep
知覚動詞 see, smell, hear, find
任命・命名系の動詞 name, call
この11個しかありません。
中学校で習う単語、want, needなども第5文型を取りますが、中学校の範囲では出てきません。
これらの動詞が使われていたら、O=Cの関係が成り立つかどうかを見てください。成り立てば第5文型で間違いありません。
第5文型の例文
Leave me alone.
「僕を一人にしておいてくれ」
I found the movie very exciting.
「映画がとてもエキサイティングだとわかった」
She called me a liar.
「彼女は私をうそつきだと呼ばわった」
me=alone、the movie=very exciting、me=a liarの関係が成り立つことに注目しましょう。
第5文型には実はO=Cにならないパターンがある
O=Cの関係が成り立つのが第5文型、と覚えていると、「あれ?これO=Cが成り立たないのに第5文型?」となってしまう形があります。
それは使役動詞、知覚動詞には実はO=Cにならないけど第5文型に分類される構文が多く使われるのです。
動詞+目的語+不定詞(原形不定詞)
の形を取ります。
動詞+目的語+不定詞(原形不定詞)の例
I made him do the job.
「私は彼にその仕事をさせた。」
Oはhim、Cはdo the job(仕事をする)でO=Cとはさすがに言いづらいですね。
Let me know that later.
「それあとで教えてね。」(後で私が知るようにしてください)
これも使役動詞letの普通の使い方で第5文型に分類されますが、さすがにO=Cとは言えない。
「私」イコール「後で知る」の関係ではなく、「私」が「後で知る」という動作主、つまりO+Vの関係ですよね。
ちょっと難しいと思います。
ですが、安心してください。中学校の学習範囲にはまず出てきません。
この範囲は高校の英文法の範囲で詳しく説明します。
長く続いた英語5文型もこれでおしまいです。
そして、中学校で習う英文法の範囲もこれでおしまい。
お疲れさまでした!
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